排水処理の維持費を下げようとして、薬品単価の値引きだけを求めても、全体コストは下がらないことがあります。薬品を増やした結果、汚泥が増え、処分費と脱水工数が上がるためです。
結論:30%は保証値ではなく、原単位から逆算する改善目標
削減余地は、原水条件、現在の過剰運転、設備状態で異なります。「30%削減」は一律に実現できる数字ではありません。まず費用を処理水量1m³当たり、または生産量1単位当たりの原単位に直し、5つの改善を順番に実施します。
方法1:薬品量をジャーテストと実測で最適化する
設定値ではなく、実際の吐出量を測ります。pH、凝集剤、高分子凝集剤を一度に変えず、1条件ずつ評価します。評価指標は処理水質だけでなく、汚泥量、脱水性、薬品費も含めます。
方法2:汚泥の含水率と搬出頻度を下げる
重金属排水では、薬品費より汚泥処分費が大きい場合があります。ろ布洗浄、凝集条件、送泥濃度、圧搾時間を見直し、脱水ケーキの重量と含水率を記録します。処分単価だけでなく、年間搬出重量を減らす視点が重要です。
方法3:ポンプ・ブロワの過剰運転を止める
24時間一定速度で回している機器は、流入負荷や操業時間に合わせた台数制御・インバータ制御を検討します。環境省のCO₂削減対策Naviでも、インバータ設定値の見直しや曝気用ルーツブロワの回転数制御が対策として示されています。水質への影響を確認しながら段階的に調整します。
方法4:予防保全で緊急修理を減らす
ポンプ、計器、弁、ろ布、薬注配管を重要度で分け、交換周期を決めます。「壊れてから呼ぶ」運用は、割増工事、仮設処理、生産調整が重なります。故障件数だけでなく、停止時間と復旧費を記録します。
方法5:原水を発生源で分ける
高濃度排水と洗浄水を混ぜると、全量に多くの薬品が必要になります。工程別採水で負荷源を特定し、高濃度分だけを回分処理する、回収可能な液を分離する、清浄水を混入させない、といった発生源対策を検討します。
30%削減の試算方法
年間維持費が1,200万円なら、30%は360万円です。ただし最初から360万円を均等に割り振らず、現状費用の比率から候補を決めます。
- 薬品費400万円:10%改善で40万円
- 電力費300万円:20%改善で60万円
- 汚泥費350万円:25%改善で87.5万円
- 保守・緊急対応150万円:20%改善で30万円
この例の一次改善は217.5万円、約18%です。残りは設備改造や発生源対策の投資対効果を見て判断します。削減率を先に作らず、実測値を積み上げることが重要です。
よくある質問
Q1. 薬品を減らすと基準超過が心配です。
A. 一度に減らさず、ジャーテストと管理値を使って段階的に調整します。排水基準より厳しい社内管理値を維持します。
Q2. どの費用から着手すべきですか?
A. 年間金額が大きく、変動が大きい費目を優先します。多くの現場では薬品・汚泥・電力が候補です。
Q3. 設備投資なしでも削減できますか?
A. 記録、薬注調整、運転時間、清掃周期の見直しで改善できる場合があります。能力不足があれば部分改造を比較します。
まとめ
30%削減は、薬品値引きではなく、薬品・汚泥・電力・保全・発生源の5領域を原単位で改善する目標です。まず3か月の基準値を作り、処理水質を守りながら小さく検証します。
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参考資料
- 環境省「CO₂削減対策Navi」(2026-07-17確認) https://shift.env.go.jp/navi/measure
- 環境省「一般排水基準」(2026-07-17確認) https://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html
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