この記事でわかること

  • 排水処理で問題になりやすい重金属の種類
  • 金属ごとの発生工程と処理上の注意点
  • 重金属排水でpH・キレート剤・汚泥管理が重要な理由
  • 現場担当者が日常点検で見るべき項目

結論

排水処理担当者がまず押さえるべき重金属は、鉛(Pb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、全クロム、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)です。これらは水質汚濁防止法や自治体基準、下水道放流基準で管理対象となり、工場の工程によっては排水基準超過の原因になります。

重金属排水の処理は、中和して沈殿させれば終わりではありません。金属ごとに沈殿しやすいpHが異なり、キレート剤や洗浄剤があると水酸化物沈殿で落ちにくくなります。さらに、発生した汚泥は脱水後、産業廃棄物として委託処理する必要があります。

株式会社増澤技研では、鉛、フッ素、全クロム、銅、亜鉛、酸・アルカリ、ヒ素、カドミウムなどを対象に、重金属排水処理装置の設計・設置・メンテナンスを行っています。


重金属別の基礎知識

金属 主な発生工程 処理上の注意
鉛(Pb) バッテリー、はんだ、金属加工 低濃度管理、汚泥の判定
銅(Cu) プリント基板、洗浄、めっき関連 キレート剤で落ちにくい
亜鉛(Zn) 塗料、表面処理、洗浄 pH条件と汚泥量
全クロム 表面処理、金属加工 六価クロムの有無に注意
ヒ素(As) 研磨、原料由来 共沈・吸着の検討
カドミウム(Cd) 金属材料、表面処理 厳しい管理が必要

なぜpHが重要なのか

多くの重金属は、pHを調整して水酸化物として沈殿させます。しかし、金属ごとに沈殿しやすいpHが異なります。複数金属が混在すると、単一pHではどの金属にも最適にならないことがあります。

例えば、銅、ニッケル、鉄などは最適pHが異なります。多金属排水では、多段pH調整、共沈、フェライト法、キレート樹脂などを組み合わせることがあります。

キレート剤があると何が起きるのか

洗浄剤や工程薬剤に含まれるキレート剤は、金属を水中に溶けた状態で保持します。この状態では、pHを上げても沈殿しにくくなります。

現場で見落としやすいのは、工程側の薬剤変更です。洗浄剤を変えた後から銅やニッケルが落ちにくくなることがあります。排水処理側だけでなく、工程側の薬剤情報を共有する仕組みが必要です。

汚泥管理も重金属処理の一部

重金属を沈殿させると、金属を含む汚泥が発生します。この汚泥は脱水機やフィルタープレスで脱水し、産業廃棄物として処理業者へ委託します。

汚泥管理で見るべき項目は次の通りです。

  • 脱水ケーキ量
  • 含水率
  • 保管場所
  • 委託先の受入条件
  • マニフェスト管理
  • 特別管理産業廃棄物該当性の確認

処理水だけが基準内でも、汚泥処理が詰まると設備運転は止まります。

日常点検で見るべき項目

点検項目 見る理由
pH計 校正ズレが処理不良に直結
薬注量 過不足で基準超過・汚泥増加
凝集状態 フロック形成と沈降性を確認
汚泥引き抜き 槽内滞留と再溶出を防ぐ
脱水機 ケーキ含水率と搬出量を確認
分析値 平均値だけでなく最大値を見る

増澤技研のQ&Aでは、運転管理として月1回のpH校正、3〜7日に1回の薬品補充、脱水ケーキ取り出しが挙げられています。

よくある質問

Q1. 重金属は中和すれば全部落ちますか?
A. いいえ。pH条件、キレート剤、共存物質、金属種によっては中和だけでは落ちません。仕上げ処理が必要な場合があります。

Q2. どの金属が一番危険ですか?
A. 一律には言えません。排水基準、濃度、毒性、放流先、汚泥処分条件でリスクは変わります。

Q3. 複数金属が混じる場合はどうしますか?
A. 多段pH調整、共沈、吸着、キレート樹脂などを組み合わせます。原水分析と処理テストが必要です。

Q4. 汚泥は通常の産廃でよいですか?
A. 金属濃度や溶出試験の結果により、特別管理産業廃棄物に該当する場合があります。委託先と自治体に確認します。

Q5. 担当者が変わっても運用できるようにするには?
A. pH、薬注量、汚泥量、分析値、異常対応を記録し、工程変更時に排水処理側へ情報が届くルールを作ります。

まとめ

  • 排水処理担当者は、鉛、銅、亜鉛、全クロム、ヒ素、カドミウムをまず押さえる
  • 重金属処理はpH、キレート剤、共存物質で挙動が変わる
  • 汚泥の脱水・保管・委託処理までが処理設計の一部
  • 日常点検では、pH計、薬注、凝集、汚泥、脱水、分析値を見る

重金属排水の教育・設備診断は増澤技研へ

株式会社増澤技研では、重金属排水の原水分析、処理方式検討、設備診断、運用改善、担当者向けの管理ポイント整理まで対応しています。

参考資料

  • 環境省「一般排水基準」 https://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html

排水処理設備の新設・更新・基準超過対策は増澤技研へ

原水分析、処理方式の検討、薬注条件の見直し、装置製作、設置、試運転、運用支援まで一貫して対応します。重金属排水・フッ素排水の基準超過リスク、薬品費・汚泥処分費の削減、既存設備の改善もご相談ください。

排水処理の無料相談をする 装置カタログを確認する