金属加工工場の排水は、すべて同じ「油混じりの水」ではありません。切削液の安定した乳化油、洗浄剤の界面活性剤、脱脂槽の遊離油、金属微粒子、酸・アルカリが混在すると、単純な油水分離だけでは処理できないことがあります。

処理の基本は、工程別に排水を分け、油が浮くのか、乳化しているのか、金属が粒子か溶解状態かを確認することです。

工程ごとの排水の違い

工程 主な含有物 主な確認項目
切削 切削油、乳化剤、金属粉 油分、COD、SS、金属
部品洗浄 界面活性剤、微粒子、油 COD、SS、泡立ち、pH
脱脂 遊離油、乳化油、アルカリ 油分、pH、COD
酸洗い 酸、溶解金属 pH、対象金属
床・設備洗浄 複数工程の混合物 最大濃度、流量変動

廃切削液や槽更新液は高濃度です。日常の低濃度排水へ混ぜると処理が不安定になるため、別回収・定量処理・委託処分を比較します。

代表的な処理方法

スクリーン・沈降

切粉や粗大な固形物を除去します。後段ポンプや膜の保護にもなります。

油水分離

浮上する遊離油には有効です。しかし、界面活性剤で乳化した油は自然浮上しにくく、凝集や加圧浮上などが必要になる場合があります。

pH調整・凝集

微粒子、乳化油、一部金属をフロック化し、沈殿または浮上で分離します。排水に合うpH・薬品・撹拌条件をジャーテストで確認します。

生物処理・活性炭・膜

凝集後にも溶解性CODや界面活性剤が残る場合の候補です。生分解性、吸着性、膜汚染、濃縮水を実液で評価します。

処理を安定させる5ステップ

  1. 排水系統と使用薬品を工程図にする
  2. 通常時、槽更新時、洗浄時を分けて採水する
  3. 高濃度廃液と低濃度排水を分離する
  4. 水量・pH・COD・SS・油分・対象金属を分析する
  5. 処理試験後に、槽容量・薬注・固液分離・汚泥脱水を設計する

放流先が公共用水域か下水道かで基準は異なり、自治体の上乗せ・排除基準もあります。設備を決める前に、適用条件を所管行政・下水道管理者へ確認してください。

よくある質問

Q1.油水分離槽だけで処理できますか?

遊離油が中心なら有効ですが、乳化油や溶解性有機物には不十分なことがあります。静置試験と分析で状態を確認します。

Q2.廃切削液を薄めて流してもよいですか?

希釈しても汚濁物質の総量は減りません。設備能力・法令・委託処分を含めた適切な方法を確認します。

Q3.洗浄剤を替えると処理も変わりますか?

変わる可能性があります。界面活性剤、pH、キレート成分などが凝集・金属除去に影響します。変更前に実排水試験を推奨します。

工程別の排水から処理方法を整理します

株式会社増澤技研では、切削・洗浄・脱脂排水の発生条件を確認し、実排水試験、凝集・固液分離、汚泥脱水まで検討します。

参考資料

  • 環境省「一般排水基準」 https://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html (2026年9月10日確認)
  • 環境省「化学物質管理指針」 https://www.env.go.jp/hourei/12/000010.html (2026年9月10日確認)
  • 環境省「排水処理技術事例」 https://www.env.go.jp/water/effluent_case/index.html (2026年9月10日確認)

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