この記事でわかること

  • 油分を含む排水で薬剤費・産廃処分費が増えやすい理由
  • 加圧浮上、調整槽、排水ピットで起きる代表的なトラブル
  • 油分対策で確認したい「処理方式」「薬品」「運用」の見直しポイント
  • 現地調査・ビーカーテストから改善効果を見極める進め方

結論

油分を含む排水のコスト削減では、薬剤を変えるだけでなく、油分の状態、スカム量、汚泥量、臭気、配管閉塞、既存設備の運転条件をまとめて確認することが重要です。

食品工場、油脂製造、レトルト食品、食肉加工などの排水では、油分が他の汚濁物と結びつき、加圧浮上スカム、沈殿槽の不調、排水ピットの臭気、配管閉塞、ポンプや機器のトラブルにつながることがあります。

増澤技研では、排水処理設備の診断、原水分析、現地調査、ビーカーテストを通じて、設備更新だけでなく、薬品選定、運転条件、汚泥・スカム処分費の見直しまで含めた改善提案を行います。


油分排水でランニングコストが増えやすい理由

油分を含む排水では、処理水質だけでなく、毎月の運用費が問題になりやすくなります。

特に多いのは、次のような負担です。

費用・負担 起きやすい現象
薬剤費 油分やSSが多く、凝集剤・pH調整剤の使用量が増える
産廃処分費 加圧浮上スカム、汚泥、油分を含む廃棄物が増える
清掃費 排水ピット、配管、槽内壁に油分が堆積する
修繕費 配管閉塞、ポンプ負荷、散気管・機器の汚れが増える
人件費 臭気対応、清掃、汚泥搬出、薬品補充の頻度が増える

油分は水に溶けにくく、排水中で塊になったり、他の汚濁物と結着したりします。これが槽内や配管に付着すると、堆積物の内部が嫌気化し、腐敗臭や酸性化、腐食の原因になります。

そのため、油分排水では「処理水の数値が基準内か」だけでなく、スカムや汚泥をどれだけ減らせるか、設備トラブルをどれだけ抑えられるかを合わせて見る必要があります。


加圧浮上・調整槽で見られる代表的なトラブル

油分を含む排水処理でよく見られるトラブルは、設備のどこで油分が固まり、どこに負荷が集中しているかによって変わります。

加圧浮上でスカム量が多い

加圧浮上設備では、油分やSSを浮上分離し、スカムとして回収します。油分負荷が高いと、スカム量が増え、処分費や清掃頻度が大きくなります。

スカム量が多い場合は、次の点を確認します。

  1. 原水中の油分濃度と日内変動
  2. pHと凝集剤の注入条件
  3. 加圧水量、気泡状態、浮上分離の効き方
  4. スカムの含水率と搬出頻度
  5. 上流工程で油分を分離できる余地

薬剤量を増やすだけでは、一時的に処理水が改善しても、汚泥・スカム処分費が増えることがあります。

調整槽・排水ピットで臭気が出る

調整槽や排水ピットでは、油分が壁面や底部に堆積し、嫌気化することで臭気が出ることがあります。

臭気が出ている場合は、ばっ気量、滞留時間、清掃頻度、油分の堆積状態を確認します。油分が塊のまま流入していると、槽内で分散せず、局所的に腐敗しやすくなります。

配管閉塞や機器トラブルが起きる

油分が冷えて固まりやすい排水では、配管内に付着物が増え、閉塞やポンプ負荷の原因になります。さらに、塊状の汚濁物がポンプ、スクリーン、散気管、レベル計などに付着すると、機器トラブルが増えます。

この場合は、配管経路、温度、流速、清掃口、排水ピットの構造も含めて確認する必要があります。


油分対策で見るべき3つの改善方向

油分排水の改善では、ひとつの対策だけで判断せず、次の3方向を組み合わせて検討します。

改善方向 具体策 期待できる効果
設備条件の見直し 加圧浮上、調整槽、ばっ気、撹拌、スカム回収の調整 スカム・汚泥の安定回収
薬品条件の見直し 凝集剤、pH調整剤、油分分散・微細化補助剤の検討 薬剤費と処分費のバランス改善
運用条件の見直し 清掃頻度、油分流入管理、分析、現場点検 臭気・閉塞・機器故障の抑制

重要なのは、薬剤費だけを下げることではありません。薬剤費が少し増えても、スカム処分費や清掃費、修繕費が大きく下がれば、総コストは改善する可能性があります。

反対に、薬剤を減らして処理水質が不安定になれば、基準超過や清掃負荷の増加につながります。油分排水では、薬剤費、産廃費、清掃費、故障リスクを合わせたランニングコストで判断することが必要です。


導入効果を見るときは「月額」と「年間削減額」で確認する

元記事で紹介されていた油分排水対策の事例では、産業廃棄物処理費が月額で大きく下がったケースが示されています。

対象設備・工場 導入前の産廃処理費 導入後の処理費・薬剤費 年間削減額の目安
油脂製造工場の加圧浮上 月64万円 月20万円+薬剤費11.5万円 約390万円
レトルト・カレー等製造工場の加圧浮上 月65万円 月20万円+薬剤費23.04万円 約263万円
鶏解体工場の調整槽 月60万円 月10万円+薬剤費15万円 約420万円
排水処理施設 月256万円 月146.4万円+薬剤費46.8万円 約753万円

このような試算を見るときは、単純に「薬剤費がいくらか」だけでなく、処分費、清掃費、設備トラブル、作業時間を含めて比較することが大切です。

また、効果は排水の性状、油分濃度、水量、既存設備、運転条件によって変わります。実際に導入を検討する場合は、現地調査とテストで自社の条件に合うかを確認します。


現地調査・ビーカーテストで確認したいこと

油分排水の改善は、現場を見ずに薬剤や設備を決めると失敗しやすくなります。増澤技研では、次のような流れで状況を整理します。

  1. 現地調査で排水経路、油分発生源、槽内の堆積状況を確認する
  2. 原水、調整槽水、処理水、スカム、汚泥の状態を確認する
  3. ビーカーテストで凝集条件、pH、分離性、沈降性を比較する
  4. 加圧浮上、調整槽、ろ過、汚泥処理のどこがボトルネックか分ける
  5. 2〜3か月程度の実証で、処理水質とランニングコストを確認する

油分堆積が多い現場では、改善を始めた直後に槽内・配管内の油分が動き出し、一時的に負荷が上がる場合があります。そのため、注入点、注入量、凝集剤の使い方、清掃タイミングを段階的に調整することが重要です。


増澤技研で支援できること

増澤技研では、油分を含む排水、重金属排水、フッ素排水、酸・アルカリ排水など、現場条件に合わせた排水処理設備の設計・改善を支援しています。

  • 油分排水の原水分析、現地調査、ビーカーテスト
  • 加圧浮上、凝集沈殿、調整槽、ろ過、汚泥処理の見直し
  • 薬剤費、産廃処分費、清掃費、修繕費を含めた総コスト比較
  • 臭気、配管閉塞、スカム増加、汚泥増加の原因調査
  • 既存設備の部分改修、運転条件の見直し、設備更新の比較提案
  • 重金属・フッ素排水を含む複合排水の処理方式検討

油分排水の改善は、設備を丸ごと入れ替える前に、現地調査とテストで改善余地を見極めることができます。処分費や清掃負荷が増えている場合は、まず現状の水質、油分の状態、設備の使われ方を確認することが重要です。

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まとめ

  • 油分排水では、薬剤費だけでなく産廃処分費、清掃費、修繕費まで含めて見る
  • 加圧浮上スカム、調整槽の臭気、配管閉塞は、油分の塊化・堆積が原因になりやすい
  • 改善策は、設備条件、薬品条件、運用条件を組み合わせて検討する
  • 導入効果は、月額費用と年間削減額で確認する
  • 現地調査とビーカーテストで、自社の排水条件に合う改善策を見極めることが重要

参考資料

  • コストダウンナビ「排水処理のランニングコストを大幅に削減!!」 https://atss.co.jp/media/nano-series/
  • 環境省「一般排水基準」 https://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html
  • 環境省「排水処理技術の事例」 https://www.env.go.jp/water/effluent_case/index.html

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