光学ガラス工場の排水処理設備が古くなっても、直ちに全面更新が必要とは限りません。槽や架台が健全で処理能力に余裕があれば、計装、薬注、撹拌、固液分離、脱水などを部分改造し、性能と保守性を回復できる場合があります。

一方、腐食が広範囲に進んでいる、処理量が設計値を超えている、法令・放流条件に対応できない場合は、延命がかえって高コストになります。更新判断には、設備年数ではなく「処理性能・構造健全性・保守性・将来負荷」の4軸が必要です。

古い設備に現れやすいサイン

  • 同じ排水でも薬品量が増えた
  • フロックや上澄みが日によって変わる
  • pH計・流量計の値を信用できない
  • ポンプ・撹拌機の故障が増えた
  • 汚泥の引抜きや脱水に時間がかかる
  • 盤部品が廃番で、故障時の復旧に時間を要する
  • 製品や研磨材の変更後に能力不足となった

これらは、設備全体の寿命だけでなく、計測不良や運転条件のずれでも起こります。まず原因を切り分けます。

改善1.現状性能を測り直す

設計図書の値と現在の実態を比較します。日量、時間最大流量、pH、SS、COD、色度、薬品量、汚泥量を、通常時・品種切替時・洗浄時に分けて測ります。

処理工程ごとに採水し、どこで除去できていないかを確認します。原水槽、凝集槽、沈殿槽、ろ過後の水質を比べると、薬品と設備のどちらがボトルネックか見えやすくなります。

改善2.使える槽・架台を残す

コンクリート槽や鋼製槽の防食、漏れ、基礎、容量に問題がなければ、内部機器と配管を更新して利用できる可能性があります。

ただし、目視できる表面だけで判断しません。板厚、ライニング、クラック、アンカー、耐震性、点検スペースを確認し、補修費と残存利用期間を比較します。

改善3.薬注・pH・撹拌を自動化する

手動薬注や古いpH計では、原水変動に追従しにくくなります。pH計の二重化、流量連動薬注、インバーター撹拌、薬品残量警報などが候補です。

自動化の前に実排水でジャーテストを行い、有効なpH・薬品範囲を決めます。センサー値が外れたときに過剰薬注しない上限・停止条件も設定します。

改善4.固液分離を見直す

沈殿槽の越流負荷、整流、汚泥巻き上げ、引抜き状態を確認します。微細粒子が多い場合は、傾斜板、加圧浮上、ろ過、膜などを比較します。

新しい分離装置を追加する前に、凝集フロックの性状と既設槽の流れを調べます。フロックが形成されていなければ、分離装置だけ替えても安定しません。

改善5.汚泥脱水を再設計する

処理水側だけでなく、汚泥の濃縮・引抜き・脱水を確認します。フィルタープレスのろ布、供給圧、注入時間、洗浄、自動化を改善すると、含水率や作業時間を下げられる場合があります。

汚泥貯留槽が小さく、脱水機停止時に水処理まで止まる構成なら、バッファ容量や予備系統も検討します。

部分改造と全面更新の判断表

状態 部分改造が向く 全面更新を検討
槽・基礎 健全、容量に余裕 腐食・漏水・耐震懸念
処理能力 一部工程がボトルネック 全工程で大幅不足
水質 運転改善で回復可能 原水・基準が設計時と大きく異なる
制御 盤・計装更新で対応可能 配線・安全回路も全面老朽化
保守 部品交換可能 主要部品廃番、停止リスク大
将来計画 現在規模を維持 増産・工程変更が確定

株式会社増澤技研の設備では、法定耐用年数の目安が10〜12年程度である一方、20年以上稼働している例もあります。長く使えるかどうかは、材質、薬液、水質、保守、負荷によって変わります。

改善計画の進め方

  1. 図面・修繕履歴・分析値を確認する
  2. 現地で槽、配管、機器、制御を診断する
  3. 実排水試験で必要処理を確認する
  4. 「運転改善・部分改造・全面更新」を同じ条件で比較する
  5. 停止時間、仮設処理、切替手順を計画する
  6. 改造後の性能確認と運転教育を行う

よくある質問

Q1.20年以上の設備でも延命できますか?

状態によります。槽が健全でも、制御・配管・安全設備の更新が必要な場合があります。残存リスクと今後の使用年数で判断します。

Q2.他社製設備も改造できますか?

図面、現地状態、責任範囲を確認したうえで個別に検討します。既設機器との接続と保証条件を整理します。

Q3.工場を止めずに改造できますか?

仮設槽・仮設処理、系統切替、休日工事などで対応できる場合があります。排水の一時保管能力と切替失敗時の手順が重要です。

Q4.最初に必要な資料は何ですか?

処理フロー、機器表、直近の水質・水量、薬品・汚泥量、故障・補修履歴があると診断が進みます。資料が不足していても現地確認から整理できます。

全面更新の前に既設設備の可能性を診断します

株式会社増澤技研では、1〜100m³/日程度の排水処理を中心に、運転改善、部分改造、設備更新を比較します。現場調査と実排水試験をもとに、必要な範囲を具体化します。

参考資料

  • 環境省「一般排水基準」 https://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html (2026年9月10日確認)
  • 環境省「排水処理技術事例」 https://www.env.go.jp/water/effluent_case/index.html (2026年9月10日確認)
  • 「Analysis of infrared optical polishing effluents and reduction of COD and TSS levels by ultrafiltration and coagulation/flocculation」 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1944398624063239 (2026年9月10日確認)

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