この記事でわかること

  • 下水道使用料が水道使用量ベースで算定されやすい理由
  • 工場・事業所で下水道料金削減の余地が出るケース
  • 減量認定や排水量計測で確認すべき資料・設備・手続き
  • 初期費用を抑えながら排水量計測システムを検討する考え方

結論

下水道料金の削減は、「実際に下水道へ流れていない水量」を客観的に示せるかが重要です。

多くの自治体では、下水道使用料を水道使用量や工業用水使用量をもとに算定します。しかし、冷却塔やボイラーで蒸発する水、製品に含まれる水、散水など、すべてが公共下水道へ流れるわけではない現場もあります。

この差分を計測装置や資料で説明し、自治体の制度に沿って認定を受けられれば、下水道使用料を見直せる可能性があります。ただし、制度の有無、対象条件、申請方法、メーター要件、遡及可否は自治体によって異なります。必ず事前協議を行い、認定を受けられる根拠を整えることが前提です。


下水道料金が高くなりやすい仕組み

下水道使用料は、実際に下水道へ流れた水量を常時測って算定するのではなく、水道使用量を汚水排出量とみなして計算されることが多くあります。

この方式は運用しやすい一方で、次のような現場では、使用水量と実際の排水量に差が出る場合があります。

水の使われ方 下水道へ流れない可能性がある水
冷却塔・ボイラー 蒸発する水
食品・飲料製造 製品に含まれる水、蒸発する水
散水・緑地管理 地面へ浸透する水
工程洗浄・加熱工程 蒸発・持ち出し・含水による差分
井戸水・工業用水併用 使用水量と排水量の把握が複雑になる水

水道使用量のすべてが下水道へ流れている前提で請求されている場合、実態と差がある現場では、減量認定や排水量計測の対象になる可能性があります。


減量認定とは何か

減量認定とは、使用水量のうち公共下水道へ排出されない水量がある場合に、その根拠を申告し、下水道使用料の算定に用いる汚水排出量を見直す制度です。

ただし、制度は全国一律ではありません。自治体によって、対象となる水の用途、必要な計測方法、提出資料、認定期間、更新手続きが異なります。

一般的には、次のような条件が確認されます。

  1. 事業活動に伴う水であること
  2. 使用水量と下水道へ排出される水量に差があること
  3. 差分をメーターや資料で客観的に示せること
  4. 自治体が求める位置に計測装置を設置できること
  5. 申告書、図面、使用水量実績などを提出できること
  6. 認定後も定期報告やメーター管理を継続できること

大阪市のように「1か月あたりの減量水量が使用水量合計の20%以上」などの基準を示している自治体もあります。一方で、事前協議なしの申請や、申請前の期間に遡った減量認定を認めない自治体もあります。

そのため、下水道料金削減は「設備を付ければ必ず下がる」という話ではなく、自治体制度に合う計測設計と申請準備が重要になります。


下水道料金削減の対象になりやすい事業所

減量認定や排水量計測の検討対象になりやすいのは、下水道使用料が大きく、かつ使用水量と排水量に差が出やすい事業所です。

業種・施設 確認したいポイント
食品工場 製品含有水、蒸発水、洗浄水、排水系統
飲料・調理施設 原料・製品に入る水、加熱蒸発、厨房排水
ホテル・温浴施設 給排水系統、井水利用、ボイラー、冷却塔
病院・研究施設 井水・上水の併用、設備系統、排水系統
工場・大型事業所 冷却塔、ボイラー、散水、工業用水、排水量計

元記事では、年間下水道使用料金が900万円以上ある現場を見極めの目安としていました。実際には自治体単価、使用水量、減量できる水量、計測設備費、保守費によって採算が変わります。

まずは、直近1年分の上下水道料金、使用水量、排水系統図、既存メーター位置を整理し、削減余地を試算することが現実的です。


検討前に準備したい資料

下水道料金削減の提案や自治体協議を進めるには、現場の水の流れを説明できる資料が必要です。

資料 確認する目的
直近1年分の水道・下水道料金明細 使用水量、料金、季節変動を把握する
給排水図面・衛生設備図 下水本管への接続、排水系統、計測位置を確認する
既存メーター情報 上水、井水、工業用水、排水量計の位置を把握する
減量認定・申告書類 既に認定を受けている場合の条件を確認する
工程情報 蒸発、製品含有、散水、洗浄など水の使途を整理する

図面が古い、排水系統が複数ある、メーター位置が現状と合っていない場合は、現地調査で確認します。下水道本管への接続が複数ある場合や、排水経路が複雑な場合は、計測設計が難しくなることがあります。


排水量計測システムで確認すべきこと

排水量計測システムを設置する場合、単にメーターを付けるだけでは不十分です。自治体に認められる位置・仕様であること、継続的に正確な値を報告できることが重要です。

確認したい項目は次の通りです。

  1. 計測対象は「排出されない水量」か「実際の排水量」か
  2. メーターの種類、検定、有効期間、設置位置が自治体条件に合うか
  3. 排水の水質、温度、油分、SSが計測機器に影響しないか
  4. 点検、清掃、校正、異常時対応を誰が行うか
  5. 月次・検針ごとの報告に必要なデータを残せるか
  6. 既存の排水処理設備や排水ピットと干渉しないか

排水には油分、SS、薬品、温度変動、腐食性成分が含まれることがあります。計測機器の設置場所を誤ると、詰まり、誤計測、メンテナンス負荷の増加につながります。

下水道料金削減を目的とする場合でも、設備設計では排水処理の実務条件を合わせて見る必要があります。


初期費用を抑える導入スキーム

元記事では、排水量計測システムの導入費用を抑え、削減効果からサービス費用を支払う成果報酬型の考え方が紹介されていました。

初期投資を抑えるスキームでは、次の点を事前に確認します。

確認項目 見るべきこと
削減見込み 下水道料金、減量可能水量、自治体単価
導入費用 計測機器、工事、通信、遠隔監視、申請準備
保守範囲 月次点検、年次点検、故障時対応、メーター更新
契約条件 成果報酬、固定費、契約期間、途中解約条件
認定リスク 自治体の可否、申告期限、継続条件

削減効果が大きい現場では、初期費用を抑えた導入が選択肢になる場合があります。一方で、削減水量が少ない、自治体認定の見込みが低い、計測位置が取れない場合は、採算が合わないこともあります。

設備導入前に、料金明細、図面、現地調査、自治体確認をもとに、リスクと削減見込みを分けて判断することが重要です。


増澤技研で支援できること

増澤技研では、排水処理設備の設計・製作・設置・運用支援に加え、排水量計測や既存設備の見直しに関する相談にも対応します。

  • 給排水系統、排水ピット、既存メーター位置の現地確認
  • 下水道料金明細、使用水量、排水量の整理
  • 排水量計測システムの設置可否、メンテナンス性の確認
  • 排水処理設備、油分・SS・薬品条件が計測に与える影響の確認
  • 初期費用を抑えた導入スキームの検討
  • 重金属・フッ素・油分排水を含む設備全体の改善提案

下水道料金削減は、料金制度、自治体協議、計測設備、排水処理設備の条件が重なるテーマです。料金だけを見るのではなく、水の流れと設備の維持管理まで含めて設計することで、継続しやすい削減策を選びやすくなります。

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まとめ

  • 下水道料金は水道使用量をもとに算定されることが多く、実排水量との差が出る現場では見直し余地がある
  • 減量認定には、自治体制度に合う計測根拠、資料、事前協議が必要
  • 冷却塔、ボイラー、製品含有、散水、井水利用がある事業所は確認対象になりやすい
  • 排水量計測システムは、メーター位置、保守、報告、排水性状まで含めて設計する
  • 初期費用を抑える導入スキームは、削減見込みと認定リスクを分けて判断する

参考資料

  • コストダウンナビ「初期費用ゼロで下水道料金削減!」 https://atss.co.jp/media/sewerage-charges/
  • 横須賀市「下水道使用料の減量認定について」 https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/6731/user/ryokin/nintei.html
  • 名古屋市上下水道局「汚水排出量の減量認定制度」 https://www.water.city.nagoya.jp/category/osuihaisyutsu/16514.html
  • 大阪市「下水道使用料のご案内」 https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/page/0000010493.html

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