通常時は問題ないのに、色替えや終業時の洗浄後だけCOD・SSが急上昇する。原因は、塗装機、ガン、配管、治具に残った塗料が、短時間に洗浄水へ移ることかもしれません。

結論:初期洗浄水を分け、一定量ずつ処理する

高濃度排水を薄めて一気に流すのではなく、次の順で対策します。

  1. 残塗料をできるだけ回収する
  2. 濃い初期洗浄水を別受けする
  3. 発生量とCOD・SS・pHを測る
  4. 調整槽へ定量投入する
  5. 実液試験で凝集と後段処理を決める

洗浄時だけ処理が崩れる理由

同じ1日分の負荷でも、数十分で流入すると設備にとっては衝撃負荷です。pHや塗料濃度が設定範囲を外れ、凝集剤が不足したり、沈殿槽へフロックが流出したりします。

さらに水性塗料には、顔料・樹脂・分散剤などが含まれます。SSとして除去できる成分と、凝集後もCODとして残る成分を分けて考える必要があります。

発生源で行う5つの対策

  • 配管や容器の残塗料を回収してから水洗する
  • 拭き取り・かき取りを先に行う
  • 最初の高濃度洗浄水と後半のすすぎ水を分ける
  • 色替え、品種、使用量、洗浄水量を記録する
  • 排水口へ流してよい系統を作業標準で明確にする

米国EPAも塗装工程の汚染予防として、塗料が水系へ入る量の削減、ブース水の循環、清掃廃液の適正管理を挙げています。法令は日本の所管行政・下水道管理者の要件に従ってください。

設備側で確認するポイント

項目 確認内容
別受け槽 最大1回分の初期洗浄水を保持できるか
調整槽 濃度・pHを均一化できる攪拌と容量があるか
薬注 原水変動へ追従できるか、過剰添加になっていないか
固液分離 高負荷時にもフロックを保持できるか
緊急時 基準未達水を放流せず戻せるか

サンプル採取のコツ

「平均排水」だけでは原因を見逃します。初期洗浄、すすぎ、混合後の3点を採り、発生量とセットで記録します。白・黒・赤など色や樹脂系統が異なる場合は、別々にジャーテストを行うと処理性の差を把握できます。

よくある質問

Q1. 洗浄水を増やして薄めればよいですか?
A. 汚濁負荷は減らず、水量と設備負荷が増えます。発生源回収と定量処理を優先します。

Q2. 初期洗浄水は全量を産廃にすべきですか?
A. 濃度、量、処理可能性、委託条件で判断します。実液試験と総コスト比較が必要です。

Q3. 洗浄排水だけを処理試験できますか?
A. 可能です。初期・後期洗浄水と、実際の混合比率を記録して相談すると評価しやすくなります。

まとめ

洗浄排水対策の要点は、高濃度の初期洗浄水を把握し、一括流入を防ぐことです。排水量、時間最大量、塗料種類、COD・SS・pHをそろえ、処理試験で最適条件を決めます。

洗浄排水の処理相談

参考資料

  • U.S. EPA「Development Document for the Metal Products & Machinery Point Source Category」(2026-08-20確認) https://nepis.epa.gov/Exe/ZyPURL.cgi?Dockey=P1009WH6.TXT
  • U.S. EPA「Typical Wastes Generated by Industry Sectors」(2026-08-20確認) https://www.epa.gov/hwgenerators/typical-wastes-generated-industry-sectors
  • 日本塗料工業会「Paint Industry in Japan 2024」(2026-08-20確認) https://toryo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2025/03/Paint_Industry_in_Japan2024.pdf

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